拝啓、手術室に配属された新人看護師のあなたへ。
器械の名前は覚えられない、術式の流れもわからない、先輩はなんか怖い。「私、向いてないんじゃないか」と思いながら、今日もトイレで一息ついているころでしょうか。
大丈夫です。私もそうでした。
とりあえず1年目は、出勤するだけで合格です。
敬具
この記事は、手術室看護師として勤務中である私が、1年目のリアルを包み隠さず書いたものです。「きつい」と感じているあなたが、少し楽になれたら嬉しいです。※あくまで個人の体験です。
① 配属直後のリアル
- 器械名が全然覚えられない
コッヘル、ペアン、モスキート。最初は全部呪文に聞こえました。メモしても翌日には忘れて、また怒られる。その繰り返しでした。覚えられない自分が情けなくて、帰り道に泣いたことも一度や二度じゃありませんでした…
- 手術の流れがわからず動けない
「次何が来るかわかる?」と聞かれても、頭が真っ白。先輩がテキパキ動く横で、自分だけ止まっている感覚がずっとありました。「ついてくるだけでいい」と言われても、そのついていくことすら必死でした。
- 先輩のピリピリした雰囲気
手術室は独特の緊張感があります。命がかかっている場所だから当然なのですが、新人にはその空気が怖くて仕方なかった。何か聞こうとしても、タイミングがわからず結局聞けないまま一日が終わることもありました。
② きつかったこと3選
- 緊急オペで頭が真っ白になった話
突然の緊急オペ。準備も心も整っていない中で「早く!」という声が飛んでくる。何を取ればいいか、どこに何があるか、頭の中が完全にフリーズしました。終わった後、疲労から更衣室で座り込んだのを今でも覚えています。
- 怒られてトイレへ避難
「なんでわからないの」「早く」「ちゃんと見てた?」。言葉はきつくなくても、積み重なると心が折れます。休憩のたびにトイレに駆け込んで、5分で気持ちを整えてまた戻る。あの頃のトイレは私の避難所でした。
- 休日も手術のことが頭から離れない話
せっかくの休みなのに、翌日の手術のことが頭をよぎる。あの器械で合ってたかな、次はうまくできるかな。オフの日まで手術室にいる感覚で、本当の意味で休めた日がほとんどありませんでした。
③ 乗り越えるためにやったこと
- 器械を写真で覚えた
名前と実物が一致しないなら、見て覚えようと思いました。器械を一つひとつ写真に撮ってノートに貼って、名前と用途を書き込む。地道だけど、これが一番頭に入りました。
- 先輩の動きをノートなどにメモした
手術中は動きを目で追うことしかできないので、終わった後に記憶を手繰り寄せてメモしました。「このタイミングでこれを渡す」という流れが少しずつ見えてくると、動けるようになってきました。
- スクラブの色で気分を上げた
小さいことですが、月曜日は青、疲れた日は好きな色と決めるだけで出勤が少し楽になりました。スクラブの色を選ぶ、それだけのことが朝の支度を楽しくしてくれました。
④ 2年目になるにつれ変わったこと
- 少しだけ余裕が出てきた
器械の名前が自然と口から出るようになって、手術の流れが「見える」ようになってきました。完璧にはほど遠いけれど、あの頃の「何もわからない」状態とは確実に違う。小さな成長が積み重なっていたんだと気づきました。
- 後輩ができてわかったこと
後輩が同じミスをしているのを見て、初めて思いました。「あの頃の自分、めちゃくちゃ頑張ってたんだな」と。できなくて当然だったんだと、後輩を見て初めて自分に優しくなれました。
⑤ それでもきつい人へ
- 環境が合わないこともある
頑張っても「合わない」と感じることは、あります。それは甘えでも逃げでもありません。手術室という特殊な環境が、全員に向いているわけじゃない。そう気づくことは、むしろ自分を知ることだと思います。
- 転職・異動という選択肢もあり
無理して消耗するより、環境を変えることも立派な選択です。転職や異動を考えることは、負けじゃない。自分の働きやすい場所を探すことは、看護師としてのキャリアを守ることでもあります。気持ちが限界になる前に、一度だけ選択肢を広げてみてください。
1年目のきつさは、あなただけじゃありません。 毎日手術室に足を踏み入れているだけで、 十分凄いことです。 いつかきっと、あの頃の自分に 「よく頑張ったね」と言える日が来ます。

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