はじめに
「誰も教えてくれないのに、なんで知ってて当然みたいな顔するの?」
「マニュアルに書いてないことだらけで、毎日が地雷原」
「先輩によって言うことが違いすぎて、どっちが正解かわからない」
手術室に配属されて最初に感じること、それは「暗黙のルール多すぎる問題」です。
病棟にも独自のルールはありますが、手術室はその密度が段違い。清潔・不潔の概念から器械の置き方・先生への声のかけ方まで、誰も教えてくれないのに「知ってて当然」という空気が漂っています。
この記事では、現役オペ看が「あったあった」と思わず頷く手術室の暗黙のルールをまとめました。今まさに新人で悩んでいる人にも、懐かしく読んでもらえる人にも届けば嬉しいです。
① 先輩によって言うことが全然違う
手術室あるあるの中でダントツ共感が多いのがこれです。
Aさんに聞いたら「こうしなさい」、Bさんに聞いたら「それは違う」。
清潔操作の判断・器械の渡し方・動線の取り方まで、先輩によって言うことが微妙に——いや、大きく違うことがあります。
新人のころは「どっちが正しいの?」と混乱しながら、結局「その場にいる先輩に合わせる」という処世術を身につけていきます。これが手術室サバイバルの第一歩です。
② 器械の名前が病院によって違う
「メッツェン持ってきて」「ペアン取って」「コッヘル!」
手術室では器械の名前が飛び交いますが、同じ器械でも病院や診療科によって呼び名が違うことがあります。
学校で習った名前と現場の呼び名が違ってパニック、なんて経験をした人も多いはず。転職・異動してきたベテランでさえ「うちではそう呼ぶんですか」と戸惑う場面があるくらいです。
覚えたと思ったら「その呼び方は古い」と言われることも……。
③ 執刀医ごとの「好み」を全部覚えなければならない
器械出し看護師の洗礼といえばこれです。
「メスの向きが逆」「ガーゼの折り方が違う」「持針器の角度が先生の好みと合ってない」
術式だけでなく執刀医ごとの好みまで覚えなければならないのが手術室のリアルです。しかもそれはどこにも書いていない。
新人のころは「先生ごとのクセノート」を作って必死に覚えた、という人も多いはずです。先生が変わるたびに別人になる必要があるのが器械出し看護師の宿命です。
④ 「見て覚えろ」なのに見る余裕がない
「見てればわかる」と言われても、初めて見る術式で何が起きているか理解するだけで精一杯。
しかも器械出しのときは清潔野を守ることに必死で、術野をじっくり観察する余裕なんてありません。外回りのときは記録・物品補充・連絡対応に追われて、これまた見る暇がない。
「見て覚えろ」と言われても見る余裕がないというジレンマ。これが手術室の洗礼です。
⑤ 手術中のピリピリした空気に慣れるまでが長い
手術室は独特の緊張感があります。執刀医が集中しているとき・出血が多いとき・予定外の事態が起きたとき——空気が一瞬で変わります。
新人のころはこの空気の変化を読むだけで精一杯。「今話しかけていいのか・動いていいのか・何をすべきか」を判断するだけで消耗します。
「疲れた理由がわからない」という新人が多いのはこれが原因のひとつです。体ではなく神経が疲れる職場です。
⑥ 片付けの順番と速さを無言でジャッジされる
手術が終わった後の片付け。器械の洗浄・ドレープの処理・手術室の清拭など、やることは山積みです。
このとき何から手をつけるか・どのくらいの速さで動くかを、先輩が無言で見ています。
「なんでそれを先にやるの?」と思われていても言葉にされないのが手術室クオリティ。何度か経験して「あ、これが正解の順番か」と気づくしかない場面が多いです。
「もっと動いて」という言葉なしの圧力が、新人の心をじわじわ削っていきます。
⑦ 休憩に行くタイミングが読めない
病棟のように「〇時から休憩」と決まっていない手術室では、休憩に行くタイミングが読めないのもあるあるです。
手術の合間・交代のタイミングを見計らって先輩が「今のうちに行って」と声をかけてくれますが、新人のうちはそのタイミングすら自分で判断できません。
お腹が空いても・トイレに行きたくても、言い出せずに我慢してしまう。「手術室は自分の体調より手術が優先」という空気がじわじわとつらくなってくる時期があります。
⑧ 「次何が必要か」を先読みできないとため息をつかれる
器械出し看護師に求められる先読み力。執刀医が次に何を必要とするかを予測して、手渡す準備をしておく能力です。
でも新人には術式の流れ自体がわからないので、先読みのしようがありません。
「なんで準備できてないの?」という目線を感じながら、必死に術野を追う毎日。「どうすれば先読みできるようになるか」を誰も教えてくれないのに、できないと怒られる理不尽さがつらいです。
慣れてくると「次はこれだな」という感覚が自然と身についてくるのですが、そこに至るまでの道のりが長い。
⑨ カウントが合わないときの緊張感は異常
手術前後に行う器械・ガーゼのカウント。数が合わないと手術室全体が一瞬凍りつきます。
「カウント合いません」——この一言を言うのが怖くて、何度も数え直した経験がある人は多いはずです。
結果的に自分のカウントミスだったとき、患者さんの体内から出てきたときなど、状況によっては冷や汗どころではない経験になります。
患者さんの安全に直結する作業だからこそのプレッシャーは、手術室以外ではなかなか味わえないものです。
⑩ 「慣れたら楽しい」が本当になる瞬間がある
きつい話を9つ並べましたが、最後はこれで締めたいと思います。
手術室の暗黙のルールに翻弄されて、「向いてないかも」「もう無理かも」と思った時期は誰にでもあります。
でも不思議なことに、ある日突然「あ、わかってきた」という瞬間が来ます。
先生の次の動きが読めた。器械を渡すタイミングがぴったり合った。カウントがスムーズにできた。
その瞬間の達成感は、手術室以外ではなかなか味わえないものです。暗黙のルールが多い分、それを乗り越えたときの「わかった感」も大きい。
「慣れたら楽しい」は先輩の口癖みたいに聞こえていたけど、気づいたら自分がそれを実感していた——そんな経験、きっとあるはずです。
まとめ
| あるある | ひとことで言うと |
|---|---|
| ① 先輩によって言うことが違う | 正解が人によって変わる |
| ② 器械の名前が病院で違う | 覚えたと思ったら別の名前 |
| ③ 執刀医ごとの好みを覚える | 無限に更新されるクセノート |
| ④ 見て覚えろなのに見る余裕がない | 見る暇がないジレンマ |
| ⑤ 手術中の空気に慣れるまでが長い | 神経が疲れる職場 |
| ⑥ 片付けの順番を無言でジャッジされる | 言葉なしの圧力 |
| ⑦ 休憩のタイミングが読めない | 我慢し続ける毎日 |
| ⑧ 先読みできないとため息をつかれる | 教えてもらえない先読み力 |
| ⑨ カウントが合わないときの緊張感 | 手術室が凍りつく瞬間 |
| ⑩ 慣れたら楽しいが本当になる | 乗り越えたときの達成感 |
手術室の暗黙のルールは、マニュアルには書いていない「現場の文化」です。
理不尽に感じることも多いですが、その多くは「患者さんの安全を守るため」「手術をスムーズに進めるため」という目的から生まれています。
全部を一度に覚えようとしなくて大丈夫です。毎日少しずつ、自分のペースで積み上げていきましょう。
※この記事は現役オペ看による体験談をもとにした情報提供を目的としています。病院や職場によって状況は異なります。

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