はじめに
「手術室の看護師って何してるの?」
「外回りと器械出しって何が違うの?」
「どっちの方が大変なの?」
手術室に配属される前、あるいは他の部署から見ると、オペ看の仕事はなかなかイメージしにくいものです。「なんか手術の器械を渡してる人」「なんか部屋の外で動いてる人」くらいの印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
実際には外回り・器械出し・麻酔介助など、手術室の看護師は役割を分担しながら一つの手術を支えています。
この記事では、それぞれの役割の内容・大変さ・やりがいを現役オペ看の目線でリアルに解説します。配属前の方にも、すでに働いている方にも楽しんで読んでもらえれば嬉しいです。
まず整理:手術室の看護師の役割は3つ
| 役割 | 別名 | 一言で言うと |
|---|---|---|
| 器械出し看護師 | スクラブナース・直接介助 | 清潔野で執刀医をサポート |
| 外回り看護師 | 間接介助・循環看護師 | 手術室全体を管理・サポート |
| 麻酔介助看護師 | (病院による) | 麻酔科医をサポート |
※手術の規模・病院の体制によって、1人が複数の役割を担う場合や、専任で対応する場合があります。
器械出し看護師とは?
一言で言うと
「清潔野の中で、執刀医と最も近い位置で手術を支える看護師」
主な仕事内容
術前
- 手洗い(外科的手洗い)をして清潔を保つ
- 滅菌された器械台を組み立てる
- 術式に必要な器械を並べる
- ドレーピング(清潔野を作る覆い)の介助
術中
- 執刀医・助手に必要な器械を手渡す
- 次に何が必要かを先読みして準備する
- 使用した器械・ガーゼのカウントを管理する
- 清潔野を常に保つ
術後
- 器械・ガーゼのカウントを確認する
- 使用した器械を片付け・洗浄に出す
器械出しの醍醐味
器械出しの最大のやりがいは執刀医との一体感です。
「メス」と言われる前にメスを準備できたとき。術式の流れを完璧に把握して、一言も言葉を交わさずにスムーズに手術が進んだとき。その達成感は言葉では表現しにくいものがあります。
器械出しのきつさ
手術中はほぼ動けないのが最大のきつさです。
長時間の手術では4〜5時間以上、清潔野を守りながら立ち続けます。腰痛・足のむくみ・集中力の維持が課題になります。
また長時間手術中は離席が難しいため、事前に水分摂取のタイミングを調整するスタッフもいます。
外回り看護師とは?
一言で言うと
「手術室全体を俯瞰して、チームを支える調整役」
主な仕事内容
術前
- 患者確認(氏名・術式・手術部位・アレルギーなど)
- 手術台・体位固定の準備
- 必要な機器の動作確認
- 患者入室・移送の介助
術中
- 手術の記録・時間管理
- 必要な物品の補充・追加
- 器械出しへの介助・サポート
- 医師・麻酔科医・他部門との連絡調整
- 患者の状態観察・体位の確認
術後
- 患者の搬送介助
- 手術記録の完成
- 手術室の片付け・次の手術の準備
外回りの醍醐味
外回りの醍醐味は手術全体が見渡せることです。
器械出しが清潔野の中に集中しているのに対し、外回りは手術室全体を俯瞰する立場。「この手術がどう進んでいるか」「次に何が必要か」を常に先読みしながら動きます。
経験を積むほど「この状況なら次はこれが必要」という判断が早くなり、チーム全体の動きがスムーズになっていくのを実感できます。
外回りのきつさ
マルチタスクの多さがきつさの核心です。
記録・物品管理・連絡調整・患者観察を同時並行でこなしながら、突発的な対応にも即座に動く必要があります。
「今何をすべきか」の判断が常に求められ、新人のうちは何から手をつければいいかわからずパニックになることも珍しくありません。
麻酔介助看護師とは?
病院によっては、麻酔科医をサポートする麻酔介助看護師を配置するケースがあります。
主な仕事内容
- 麻酔導入・覚醒の介助
- 気管挿管の介助
- 麻酔器・モニターの準備・確認
- 薬剤の準備・管理
- 麻酔中の患者状態の観察や、必要物品の準備・受け渡し
ポイント
麻酔介助は麻酔科医との密な連携が必要です。薬剤の知識・患者の全身管理への理解が求められるため、経験を積んだオペ看が担当することが多いです。
病院によっては外回り看護師が麻酔介助を兼任する場合もあれば、専任で対応する場合もあります。
実際の手術ではどう分担するの?
手術の規模によって、看護師の分担は変わります。
小〜中規模の手術(例:虫垂炎・胆嚢摘出など)
| 役割 | 人数 |
|---|---|
| 器械出し | 1名 |
| 外回り | 1名 |
| 麻酔介助 | 外回りが兼任することも |
大規模・長時間の手術(例:心臓外科・食道がんなど)
| 役割 | 人数 |
|---|---|
| 器械出し | 1〜2名 |
| 外回り | 1〜2名 |
| 麻酔介助 | 1名 |
手術が長時間に及ぶ場合は途中でスタッフが交代します。この引き継ぎの質が手術の安全性に直結するため、交代時の申し送りはとても重要です。
結局どっちが大変なの?
正直に言うとどちらも大変で、大変さの種類が違います。
| 器械出し | 外回り | |
|---|---|---|
| 体の大変さ | 長時間立ちっぱなし・動けない | 動き続ける・マルチタスク |
| 精神的な大変さ | 清潔野・先読みへの集中 | 全体把握・突発対応 |
| 新人のうちのきつさ | 器械名・術式を覚える量が膨大 | 何から動けばいいかわからない |
| 慣れてからのやりがい | 執刀医との一体感 | チーム全体を動かす達成感 |
現場あるある
あるある①「外回りより器械出しの方が楽」は大間違い
「外回りの方が動き回って大変そう」と思いがちですが、器械出しの集中力・体力消耗も相当なものです。4時間立ちっぱなしで術野に集中し続けた後の疲労感は、経験した人にしかわかりません。
あるある②「外回りは楽そうに見えて実は一番判断力が必要」
器械出しは「術野の中」に集中できますが、外回りは「手術室全体」を同時に見なければなりません。新人のうちは外回りの方がパニックになりやすいという声もあります。
あるある③「麻酔介助は別次元のスキルが必要」
外回り・器械出しに慣れてきたころ、麻酔介助を初めて経験して「また新人に戻った感覚」を味わう人が多いです。薬剤・全身管理・麻酔科医との連携と、求められるスキルが一気に変わります。
あるある④「引き継ぎの申し送りが命」
長時間手術での交代引き継ぎ。「今どこまで進んでいるか・次に何が必要か・患者の状態」を正確に伝える申し送りは、手術の安全に直結します。「引き継いだ後に何かあったらどうしよう」というプレッシャーは、経験者ならわかるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. 新人は器械出しと外回りのどちらから覚える?
病院によって異なりますが、外回りから経験する施設もあれば、器械出しから学ぶ施設もあります。教育方針や診療科によって違いがあります。
Q. 器械出しと外回りは固定?
基本的には両方できるように教育されることが多く、経験年数に応じて担当が変わります。
Q. 一人前になるまでどれくらいかかる?
施設や担当診療科によりますが、一般的には3〜5年単位で経験を積みながら習得していきます。診療科の幅が広い病院ほど習得までの期間が長くなる傾向があります。
まとめ
| 役割 | 担当する場所 | 求められる力 |
|---|---|---|
| 器械出し | 清潔野の中 | 集中力・先読み・術式の知識 |
| 外回り | 手術室全体 | 判断力・マルチタスク・コミュニケーション |
| 麻酔介助 | 麻酔科医のそば | 薬剤知識・全身管理・連携力 |
手術室の看護師は一人で手術を支えているのではなく、役割を分担したチームで一つの手術を作り上げています。
器械出し・外回り・麻酔介助。それぞれが異なる視点から患者さんの安全を支えています。
どの役割が欠けても手術は成り立ちません。手術室看護師は、それぞれの専門性を発揮しながらチームで一つの手術を成功へ導いているのです。
※この記事は現役オペ看による体験談をもとにした情報提供を目的としています。病院の規模・体制によって役割分担は異なります。


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