【介護休業の基本】親の介護が必要になったオペ看へ

休暇・休業制度

はじめに

「親が突然倒れた。でも仕事はどうすればいいの?」

「介護休業って聞いたことあるけど、育休と何が違うの?」

「介護しながら手術室で働き続けられるの?」

介護は突然やってきます。昨日まで元気だった親が、ある日急に介護が必要な状態になる。そんな経験をしたオペ看も少なくありません。

でも「介護のために仕事を辞めるしかない」と思う必要はありません。介護休業をはじめとした複数の制度を組み合わせることで、仕事を続けながら介護に向き合うことができます。

この記事では、介護休業の基本的な仕組みを初学者にもわかりやすく解説します。


まず結論:使える制度が6つあります

制度どんな制度?
介護休業まとまった期間休める
介護休暇通院の付き添いなどで単発で休める
所定労働時間の短縮等の措置時短勤務・時差出勤などで働く時間を調整できる
所定外労働の制限残業を免除してもらえる
時間外労働の制限残業を月24時間・年150時間までに抑えられる
深夜業の制限夜勤(22時〜翌5時)を免除してもらえる

どれも育児・介護休業法に基づく制度で、状況に合わせて組み合わせて使えます。


① 介護休業

一言で言うと

「介護のためにまとまった期間仕事を休める制度」

対象となる家族

介護休業の対象となる家族は以下のとおりです。

続柄対象
配偶者(事実婚含む)✅
父母✅
子✅
配偶者の父母✅
祖父母・兄弟姉妹・孫✅
おじ・おば・いとこ等❌

取得できる日数

項目内容
取得できる日数対象家族1人につき通算93日
分割取得3回まで分割して取得可能

93日という数字が最初は覚えにくいですが、「約3ヶ月」と覚えておくと感覚がつかみやすいです。

分割取得のイメージ

取得回数例
1回目30日(入院・手術対応)
2回目30日(退院後の在宅ケア準備)
3回目33日(施設入所の手続き等)
合計93日

一度にまとめて取らず、状況に合わせて分割できるのがポイントです。

申請方法

STEP1 介護が必要な状態になったことを確認する

STEP2 休業開始予定日の2週間前までに申請する

STEP3 書面で職場(総務・人事)に提出する


介護休業給付金:休んでいる間のお金は?

介護休業中は雇用保険から介護休業給付金が支給されます。

支給額

休業開始時賃金日額 × 休業日数 × 67%

ざっくり言うと給与の約67%が支給されます。

支給条件

条件内容
雇用保険に加入しているパート・非常勤でも条件を満たせば対象
休業前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間がある雇用保険の加入期間
同じ対象家族で93日・3回の上限内上限を超えると支給されない

申請先

ハローワークへの申請が必要ですが、通常は職場の総務・人事が手続きをしてくれます。


② 介護休暇

介護休業との違い

介護休業介護休暇
目的まとまった期間の休み単発・短期の休み
日数通算93日・3回まで年5日(対象家族が2人以上は年10日)
単位日単位(期間を決めて休む)1日単位・時間単位
給付金あり(67%)なし(無給が多い)

こんなときに使う

  • 病院への付き添い
  • ケアマネジャーとの打ち合わせ
  • 急な体調変化への対応

介護休業が「長期の休み」なら、介護休暇は「スポット的な休み」です。


③ 所定労働時間の短縮等の措置(時短勤務など)

内容

介護のために、勤務時間を短くしたり、出勤時間をずらしたりできる制度です。病院は次のうち少なくとも1つを用意する義務があります。どれが使えるかは病院の就業規則で確認しましょう。

項目内容
病院が用意する措置短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・介護サービス費用の助成のいずれか
利用できる期間・回数利用開始から3年以上の期間で、2回以上
介護休業との関係介護休業とは別に利用できる

手術室での勤務時間が長いオペ看にとって、時短勤務は体力的にも精神的にも大きな助けになります。


④ 深夜業の制限

内容

介護中の看護師は深夜(22時〜翌5時)の勤務免除を申請できます。

妊娠中・育児中の深夜業制限と同じ仕組みです。

項目内容
申請期限深夜業免除開始の1ヶ月前まで
申請単位1回につき1ヶ月以上6ヶ月以内
条件深夜に介護できる同居家族がいないこと

オンコール対応の扱いは病院によって異なるため、事前に確認しておきましょう。


⑤ 所定外労働の制限(残業の免除)

内容

介護中は原則として残業を断れます。

項目内容
制限できる期間1回につき1か月以上1年以内。介護が終わるまで何回でも請求できる
申請方法職場に申し出る

所定外労働の制限を請求していれば、『緊急手術が入ったから残って』と言われても、原則として残業を断れます。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は例外として認められないこともあります。

⑥ 深夜業の制限:夜勤を免除してもらえる

項目内容
内容請求すると、22時〜翌5時の勤務が免除される
期間1回につき1か月以上6か月以内
請求の期限開始予定日の1か月前まで
対象外になる主な人継続して雇われた期間が1年未満の人、週の所定労働日数が2日以下の人、勤務時間がすべて深夜の人、深夜に介護できる同居の家族がいる人

オンコールの扱いは病院によって異なるため、あわせて確認しておきましょう。


6つの制度の比較まとめ

制度期間・日数お金申請先
介護休業通算93日・3回まで給与の67%職場→ハローワーク
介護休暇年5日(2人以上は10日)基本なし職場
時短勤務など3年以上の期間で2回以上時短分は減る職場
深夜業制限1〜6ヶ月単位影響なし職場
所定外労働制限1回1か月〜1年、何回でも影響なし職場

現場あるある

あるある①「介護休業は育休と違って取りにくい雰囲気がある」

育休は「おめでとう」という雰囲気がありますが、介護休業はそうなりにくいのが現実です。でも法律上は同じように守られた権利です。申請を理由に不利益な扱いをすることは禁止されています。

あるある②「93日で足りるの?という不安」

93日は「介護が落ち着くまでの期間」として設計されており、その後は時短勤務・介護休暇などを組み合わせて対応することが想定されています。「93日で介護が終わる」ではなく「93日で体制を整える」という制度の趣旨を理解しておきましょう。

あるある③「手続きが複雑で途中で諦めてしまう」

介護休業給付金の申請はハローワークへの届け出が必要です。でも通常は職場の総務が手続きをしてくれます。「何をすればいいかわからない」という場合はまず総務・人事に相談するのが一番の近道です。

あるある④「制度を知らずに退職してしまった」

介護を理由に退職してしまう看護師は少なくありません。でも制度を知っていれば退職せずに済むケースも多いです。「辞めるしかない」と思う前に、まず介護休業の申請を検討してみましょう。


申請するときのポイント

① できるだけ早めに職場に相談する 介護が必要な状態になったら、まず上司・師長に状況を伝えましょう。早めに相談することで職場も対応しやすくなります。

② ケアマネジャーに相談する 介護保険の申請・介護サービスの調整はケアマネジャーが助けてくれます。職場への対応と並行して、介護の専門家にも相談しましょう。

③ 制度を組み合わせて使う 介護休業→時短勤務→介護休暇という流れで制度を組み合わせることで、退職せずに仕事と介護を両立しやすくなります。

④ 不利益な取扱いは禁止されている 介護休業の申請を理由に退職を迫る・不当な配置転換を行うなどは法律で禁止されています。もし不利益な扱いを受けた場合は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や、社会保険労務士に相談しましょう。


まとめ

介護は突然始まり、いつ終わるかわからないのが現実です。

「仕事を辞めるしかない」と思う前に、まず使える制度を確認してみてください。介護休業・介護休暇・時短勤務・深夜業制限・所定外労働制限—この5つを組み合わせることで、仕事と介護の両立の可能性が広がります。

一人で抱え込まず、職場・ケアマネジャー・社会保険労務士など周りの力を借りながら進めていきましょう。


※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な状況については、職場の人事・総務、または社会保険労務士・弁護士にご相談ください。


参考リンク

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