【オペ看の残業代、正しく払われていますか?】現役オペ看が計算方法と現場のあるあるを解説

労務関係

オペ看の残業代、正しく払われてると思いますか?

はじめに

「残業したのに、給与明細の残業代がなんか少ない気がする……」

オペ室で働いていると、こう感じたことがある人もいるんじゃないでしょうか。

緊急手術で遅くまで残った。
勤務開始前から器械出しの準備をした。
タイムカードを押したあとに、緊急手術の準備を頼まれた。

でも給与明細を見ると、「あれ、これだけ?」となる。

実は残業代には、労働基準法上の計算ルールがあります。

今回は現役オペ看護師の私が、残業代の基本的な計算方法と、オペ室で確認しておきたいポイントをまとめます。

※この記事では一般的な労働基準法上のルールを解説しています。実際の残業代は勤務形態、変形労働時間制の有無、就業規則、給与規程などによって異なります。

そもそも残業代ってどう計算するの?

基本的な考え方は、

1時間あたりの賃金額 × 割増率 × 対象時間

です。

ここで注意したいのが、「定時を過ぎた=すべて1.25倍」ではないこと。

労働基準法上、原則として1日8時間・週40時間を超えた労働が「法定時間外労働」となり、25%以上の割増賃金の対象になります。

一方、病院が定めた所定労働時間を超えていても、法定労働時間を超えていない「法定内残業」については、法律上当然に25%以上の割増が必要になるわけではありません。

1時間あたりの賃金額の出し方

月給制の場合は、基本的に次のように計算します。

割増賃金の基礎となる月給 ÷ 1年間における1か月平均所定労働時間数

たとえば、

  • 割増賃金の基礎となる月給:285,000円
  • 1か月平均所定労働時間数:160時間

なら、

285,000円 ÷ 160時間 = 約1,781円

となります。

ただし、ここでいう「月給」は給与明細の総支給額をそのまま使うわけではありません。

基礎に入る手当・除外できる手当

割増賃金の基礎となる賃金は、原則として通常の労働時間に対して支払われる賃金です。

法律上、一定の要件を満たせば除外できるものとして、主に次の7つがあります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

ここで重要なのが、手当の「名前」だけでは判断しないということ。

たとえば「住宅手当」という名前でも、住宅費に関係なく全員に一律2万円を支給しているような場合には、割増賃金の基礎から除外できないことがあります。

家族手当や通勤手当についても同様で、実際の支給条件によって判断されます。

逆に、資格手当や職務手当などは法律上の除外項目ではないため、通常は割増賃金の算定基礎に入ります。

オペ看が確認したい「資格手当」

たとえば給与明細が、

  • 基本給:250,000円
  • 資格手当:20,000円
  • 職務手当:15,000円

となっている場合。

資格手当や職務手当が通常の労働に対する賃金として毎月支給されているのであれば、原則としてこれらも含めて割増賃金の基礎を計算します。

そのため、

250,000円+20,000円+15,000円=285,000円

を基礎に計算することになります。

「基本給だけ」で時間外単価を計算しているように見える場合は、給与規程などを確認してみる価値があります。

「夜勤手当」はどうなる?

ここは少し注意が必要です。

「夜勤手当」という名前だからといって、一律に割増賃金の算定基礎から除外できるわけではありません。

また、夜勤手当を支給しているからといって、労働基準法上の深夜割増が不要になるわけでもありません。

夜勤手当の中に深夜割増分を含める制度自体はあり得ますが、その場合でも法定額以上が支払われているかを確認する必要があります。

給与規程に、

「夜勤手当○円」
「深夜割増を含む」

などの記載がある場合は、手当の中身まで確認してみましょう。

割増率はどうなっている?

原則的な割増率は次のとおりです。

労働の種類割増率
法定時間外労働(月60時間以下)25%以上
深夜労働(22時〜翌5時)25%以上
法定時間外+深夜50%以上
月60時間を超える法定時間外労働50%以上
法定休日労働35%以上
法定休日+深夜60%以上
月60時間超の時間外+深夜75%以上

ここも間違えやすいポイントです。

「深夜労働=1.25倍」というより、通常の賃金に25%以上の深夜割増が加算されると考えると分かりやすいです。

法定時間外労働と深夜労働が重なれば、

1.00+0.25+0.25=1.50倍以上

となります。

具体例

1時間あたりの賃金額が1,875円で、20時から23時まで法定時間外労働をしたとします。

20時〜22時の2時間は、

1,875円 × 1.25 × 2時間 = 約4,688円

22時〜23時の1時間は「法定時間外+深夜」なので、

1,875円 × 1.50 × 1時間 = 約2,813円

となります。

※実際の端数処理にはルールがあります。単純に「1円未満切り捨て」とは限りません。

オペ看あるある「これって労働時間?」

あるある① タイムカードを押したあとに緊急手術の準備

「やっと帰れる」

と思ってタイムカードを押した直後、緊急手術が決まって準備を頼まれた。

このような場合、タイムカード上は退勤していても、病院の指示で業務をしているのであれば、その時間が労働時間に当たる可能性があります。

重要なのは「タイムカードを押したか」ではなく、実際に使用者の指揮命令下で働いていたかどうかです。

あるある② 勤務開始前の器械出し・術前準備

オペ開始に間に合わせるため、

「勤務開始前だけど、先に器械を展開しておこう」

となることがあります。

病院からその準備を義務付けられている、あるいは業務上必要で事実上やらざるを得ない状況であれば、その準備時間も労働時間に当たる可能性があります。

「始業時刻前だから絶対に労働時間ではない」というわけではありません。

あるある③ 「夜勤手当が出てるから深夜割増も込み」

これは給与規程を確認したいポイントです。

夜勤手当を支給していることと、法律上必要な深夜割増賃金を支払っていることは、必ずしも同じではありません。

夜勤手当の中に深夜割増分を含めている場合でも、実際の深夜労働時間から計算した法定額を下回っていないか確認する必要があります。

あるある④ 「主任だから残業代なし」

役職名が「主任」「係長」「師長」だからといって、自動的に労働基準法上の「管理監督者」になるわけではありません。

管理監督者に当たるかどうかは、肩書きではなく、

  • 職務内容や責任・権限
  • 勤務態様
  • 賃金などの待遇

といった実態から総合的に判断されます。

なお、本当に管理監督者に該当する場合でも、深夜割増賃金までなくなるわけではありません。

自分の残業代を確認する方法

まず給与明細だけでなく、雇用契約書・労働条件通知書・就業規則・給与規程などを確認します。

そのうえで、

① 1時間あたりの賃金額を確認する

割増賃金の基礎となる月給を、1年間における1か月平均所定労働時間数で割ります。

② 実際の労働時間を確認する

タイムカードだけでなく、勤務表や手術記録などと照らして、「実際に何時まで働いていたか」を確認します。

③ 給与明細と照合する

給与明細に記載されている時間外労働時間や時間外手当と、自分で確認した数字を比べてみます。

差がある場合は、すぐに「未払いだ」と決めつけるのではなく、まず給与担当者などに計算方法を確認すると原因が分かることがあります。

まとめ

  • 法定時間外労働は原則25%以上の割増
  • 月給制では「1か月平均所定労働時間数」を使って1時間あたりの賃金額を求める
  • 資格手当・職務手当なども原則として算定基礎に含まれる
  • 手当は「名称」ではなく実態で判断する
  • 夜勤手当があっても深夜割増の確認は必要
  • 始業前の準備や退勤処理後の業務も、使用者の指揮命令下なら労働時間になる可能性がある
  • 「主任だから残業代なし」とは限らない
  • 管理監督者でも深夜割増は必要

オペ室では、始業前の準備や緊急手術による延長など、「これって労働時間なの?」と迷う場面が意外とあります。

だからこそ、一度自分の給与明細を見ながら計算してみると、給与の仕組みがかなり見えてきます。

「今まで時間外単価なんて見たことなかった」という人は、次の給与明細で一度確認してみてください。

このブログでは、現役オペ看護師の視点から、看護師が知っておきたい労務の知識を発信しています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な状況については、労働基準監督署・社会保険労務士にご相談ください。法的紛争に発展した場合は弁護士にご相談ください。

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